うそビリヤニは「ホンモノ」になれるのか? ~ 日本うそビリ研究会

ニセモノのビリヤニ

さいしょ、このフライパンでつくられた うそビリヤニは たいへん りっぱでした。 

 

そこへ ほんとビリヤニというたべものがやってくると、みんなは もう そちらにむちゅうになって、うそビリヤニのことは わすれてしまいました。

 

ほんとビリヤニは 「じぶんこそ ほんものだ」といって うそビリヤニのことを ばかにしました。

 

ある日 うそビリヤニは じぶんをうみだした りょうりにんに きいてみました。

「みんながいってる”ほんもの”ってどういうこと?ダムしきってこと?」

 

「そうじゃない」りょうりにんは やさしくいいました。

「ほんものというのはね、そのひとにとって ほんとうのたいせつなものになった りょうりがなるものなのだ。ただ、たべるだけではなく、こころから たいせつに だいじにおもわれたりょうりは ほんものになる」

 

あるひ、うそビリヤニが いつものようにオーダーをまっていると ほんとビリヤニがあらわれました。

「こいつ、においがヘンだ。サフラン使ってない、ダムじゃない、ほんとうのビリヤニじゃないんだ」

ほんとビリヤニだけが おきゃくさんのもとへ はこばれていきます。

「いかないで。ぼくほんとうのビリヤニだよ、ねえったら…」

 

ときが すぎていきました。

うそビリヤニは ますます わすれさられていきました。

 

あるひ、オーナーがやってきました。

「このうそビリヤニ、どうしましょう」

「こりゃあ うそのかたまりだよ。すぐにでも メニューから なくしてしまいなさい。おきゃくさんには ほんとビリヤニだけをたべてもらえばよろしい」

 

こんなふうにおわりがくるなんて うそビリヤニは おもってもいませんでした。あしたになればメニューブックから けされてしまうのです。

「あんなにおいしかったのに…」

 

なみだが ほんとうのなみだが うそビリヤニのほほをつたい じめんにおちました。

 

すると ふしぎなことがおこりました。

なみだのおちたところから芽がでて、するするとのびていき、やがて花がひらくと、なかから うつくしい ようせいが あらわれたのです。

 

「わたしは おりょうりの ようせいです。あいされたりょうりが にんげんとおわかれすることになったとき わたしがむかえにきて ほんとうのものにしてあげるのです」

 

「ぼく、いままでもほんとうのビリヤニだったよ」

「ええ、ほんものでしたよ。でも、これからはだれもがあなたをほんとうのビリヤニにみえるようにしてあげる…」

 

そういうとようせいは、やさしく うそビリヤニにキスをしました。

「さあ、いまこそあなたはほんとうのものになるのです」

 

ということで、作ります

うそビリヤニをほんものにしてあげたい筆者です。

 

上記のお話の元ネタは「ビロードのうさぎ」という絵本です。

かなりパクっているので、何か警告を受けるのではないかとドキドキしながらも、「うさぎ」と「うそビリヤニ」の境遇が似ていたので書いてみました。

 

さて、1回目の試作の結果ですが、以前の記事で書いたとおり水分が多すぎてベッチャリなってしまいました。

 

今回作ろうとしているビリヤニは、南インド・ケララ州のリゾート施設、マラリ・ビーチ Marari Beach の絶品シーフード・ビリヤニがモデルになっています。

 

では、順を追って筆者の失敗の過程を見ていきましょう。

 

 まずは材料。

左、中央が筆者作。右がオリジナル。簡単かと思いきや、材料の種類が多いです。パイナップル、生クリームを使っています。

カレーを作るの図。

左、筆者作。右、オリジナル。

筆者作のほうが水分量が多くなっています。もうこの段階で暗雲が立ち込めています。

 

ここにシーフード投入。

左、筆者作。右、オリジナル。

いや、もう明らかに質感が違いますね。筆者作のほうがウェット。

 

完成品。

左、筆者作。右、オリジナル。

筆者作、べっちゃり。

ただ、オリジナル版も米は柔らかめでした。

 

おおまかな作り方

まだ全然形になっていないので、おおまかに書いておきます。

  • 米を茹でる。そのまま食べれるくらいまで。おそらく、お湯にホールスパイスを入れて香りを移している。
  • フライドオニオンを作る。
  • カシューナッツペーストを作る。
  • カレーを作る。
  • シーフードを炒めて、カレーの鍋に入れる。
  • カレーと米を合わせる。
  • カシューナッツとレーズンをギーで炒めてトッピングに。

 

感想と反省点

  • 水分量を減らす必要があります。一番の原因はトマトから多く水分が出たせいではないかと思います。次回は、トマトを炒める段階でしっかり水分を飛ばすことに。
  • 米もやや茹ですぎ?茹でる際にお湯に油を入れるべき?(忘れていた)
  • 簡単に作れるかと思いきや、「ほんとビリヤニ」よりも手間がかかったかもしれません。まだカッチ・ビリヤニのほうが台所に立っている時間は短くてすみそうです。
  • 簡易型ビリヤニとはいえ、さすがに一流レストランで出されるメニュー。プラスアルファで手間をかけている印象。
  • ただし、ダム・ビリヤニのように「密閉→加熱」という手順を踏まなくてすむので、米の硬さは調整しやすいはず。
  • それに加えて、最後はフライパンでカレーと米を合わせるだけなので、鍋の性質や熱源の違いが仕上がりに影響(←ビリヤニ作りでかなり厄介な点)を及ぼしにくいのではないかと思います。そういう意味での安定感はある。
  • 事前準備は面倒ですが、オーダーが入った後の流れを想像するに、意外とレストラン向き。

 

長くなりましたが、試作2回目へ続きます。

 

では、また書きます。

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