突然ですが、うそビリヤニを作ることにしました。
ビリヤニとは
結論から言うと、分かりません。
米とカレーを別々に調理してから合わせる料理、と言えばそうなのですが、なんせいろいろとバリエーションがありすぎます。
こんなときはウィキペディア先生にお越しいただきましょう。
はい、どうぞ!
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ビリヤニ
悲しいことに、うまくリンクがはれていません。
読まなくていいです。長すぎる(日本ビリヤニ協会さん、ごめんなさい)。
筆者も全部読んでいません。
ただ、ざっと流して見るだけでも、ビリヤニにはいろいろなパターンがあって、画一的に捉えられないものだということが分かると思います。
ではここで具体例を見てみましょう
分からなくていいんだよ!
人間とビリヤニは所詮分かり合えないんだ!
などと言ってみてもつまらないので(いや、むしろ面白いか)、筆者が経験した中からいくつか例を挙げてみます。
1.エビのビリヤニ
西荻窪のクッキング・スタジオ「サザン・スパイス」にて。
カレーと米を別々に準備して、鍋の底からカレー、米、カレー、米…と交互に重ねて蒸しあげるビリヤニ。
使用しているのは、バスマティ・ライスというビリヤニ作りによく使われる長粒米。もっともスタンダードかつメジャーな作り方。「パッキ式」とも。
2.チキン・ビリヤニ
筆者作のチキン・カッチ・ビリヤニ。
カッチ Kacchi とは「生(なま)」という意味。スパイスとヨーグルトでマリネした生肉を鍋底に敷き、その上に茹でた米をかぶせてから蒸します。南インド・ハイデラバード州の調理法。鍋底から、肉、ハーブ類、フライドオニオン、ライス、サフランと重ねて作ります。「カッチ式」というと、この作り方。
3.アサリのビリヤニ
筆者作。ゆるめのカレーに生米をぶっこみ、蓋をして煮ることで米にカレーを吸わせるという作り方。アサリを使うのは筆者のアイデアで、まったく一般的ではありません。
インドで貝類はあまり食べられませんが、出汁の力が強い食材に適した作り方だと思います。「ヒンドゥー式」とも。
丸い米のビリヤニ
ケララ州・コーチンのレストラン、パラゴン Paragonにて。
粒が長いバスマティ・ライスではなく、カイマ・ライスという丸い形の米を使用したビリヤニ。ケララではカイマライスを使ったビリヤニはメジャーな存在です。日本でも「カイマ・ビリヤニを食べる会」みたいな、マニアックな集まりがあるようです。
「ほんとビリヤニ」と「うそビリヤニ」
最近そういう言葉がネット上で使われているのを見かけます。筆者もこのブログの中で「うそビリヤニ」という言葉を使ったことがあります。
ある意味では、次のような解釈が成り立ち得ると思います(が、所詮一面的な正しさでしかありません)。
- 「ほんとビリヤニ」→パッキ式、カッチ式、ヒンドゥー式で作られたビリヤニ
- 「うそビリヤニ」→上記以外の方法、例えばフライパンで米とカレーを混ぜ合わせるような方法で作られたもの
ですが、現在流布されつつあるイメージはこんなところではないでしょうか。
- 「ほんとビリヤニ」→正式な作り方で作られたビリヤニ
- 「うそビリヤニ」→インチキくさい作り方で作られたビリヤニ
ここまで記述してきたとおり、ビリヤニというのはそう簡単に画一的に捉えられるものではありません。
「ほんと」「うそ」という二元論的解釈に陥っている時点ですでにNGなのです。
「うそビリヤニ」という言葉は、そのキャッチーな響きによって、また愛すべきB級グルメを指す言葉として使われるもので、「正誤」の区別に基づいているかというと微妙なところです。
「ほんとビリヤニ」よりもおいしい「うそビリヤニ」があったら
今年5月に南インド・ケララ州にて出会った、いわゆる「うそビリヤニ」。
ケララのリゾート施設、マラリ・ビーチ Marari Beach にて。
一流の料理人が作る、ウマすぎる「うそビリヤニ」。
「ほんとビリヤニ」よりおいしい「うそビリヤニ」があったら、どうでしょうか。それでも、その「ほんとビリヤニ」は「ほんと」でしょうか。
米はどれくらい茹でられていたら「ほんと」でしょうか。生米を使うのは「うそ」でしょうか。完全に茹で上がった米を使うのは「うそ」でしょうか。「うそ」だとしたら、「うそ」と「ほんと」の境目となる茹で加減はどのあたりでしょうか。
カレーの濃度はどのくらいが…
などと言い出すとキリがないうえに、確たる線引きは不可能です。
ということで(どういうことよ)、筆者は「おいしいウソ」を作ってみることにしました。
うそビリヤニ試作第1弾!
はい、ベッチャリ!
対応策はすでにできているので、2回目の試作に移ります。
おいしいウソを作り上げることができたら、レシピをアップします!
自分がうそビリヤニを作るための言い訳を延々としていただけのような気もします。
では、また書きます。
関連記事はこちら。